■ 整理・その1・やじろべえ

aquio2007-11-09

自宅の納戸を整理していたら、
とても懐かしい「やじろべえ」が出てきた。
「やじろべえ」は「弥次郎兵衛」と書く。
東海道中膝栗毛」の主人公である、
あの「弥次さん・喜多さん」の「弥次さん」のこと。
振り分け荷物を肩に担いで歩く旅人の姿を
「釣り合い人形」に見立て、
それを「弥次郎兵衛」と呼んだ。
また、過去には、
「弥次郎兵衛」のことを「豆蔵・まめぞう」と呼ぶ時代もあった。
これは、「豆蔵」という大道芸人の名に、その起源があり、
今も、「豆蔵」をモチーフにした紋が幾つか存在するが、
どの紋も、両腕を伸ばした「やじろべえ」の形をしている。
それにしても、自宅とアパートには、
いったい幾つのおもちゃと何冊の書籍があるのだろう・・・。
「一度きちんと整理しなければ」、と思いつつ、
ついつい今日まできてしまった。
この日記を借り、
それらの品々をデータ・ベース化することにする。
この「やじろべえ」には、
製造者や製造国の刻印がなされていない。
多分、イタリア「Sevi/セヴィ」社のものではないだろうか。
三人の子供たちがまだ幼かった頃、
神戸北野坂の「ファミリア」で買い求めたものであった、と思う。
塗料が厚く塗られているため、その樹種までは解らないが、
かなり比重の低い木材で作られている。
赤い台の上で、鮮やかにペイントされた道化師がユラユラと揺れる・・・。
「何故、人形が倒れずに立っていられるのか?」
子どもたちには不思議であったのだろう、
何度も何度も手で触れては、
ユラユラと揺れる人形に見入っていたことを、懐かしく思いだす。
円錐状に削られた人形の足の部分を支点にし、
その支点よりも重心が下側にあれば、人形は決して倒れない。
「達磨さん」と同じ原理を用いた伝統的なおもちゃ。
人形のボディと腕の接合部分には、細いダボが打ち込まれているが、
もともと軽く軟質な木で作られているため、
何度も何度も腕が外れて落ちた・・・。
その度修理をしてやったのだが、
飽きたのだろうか、そのうち、子どもたちは他のおもちゃで遊ぶことを覚えたようであった。
今朝、アトリエに持ち込んで修理する。
これでもう腕が外れる、ということはなくなるだろう・・・。
私たち夫婦にはまだ孫が授からない。
しかし、いつか、この腕に孫を抱く日もくるだろう。
その子が少し大きくなった時、
また、この「やじろべえ」で遊ばせてやることにしよう。