■ 整理・その4・pictures by Maurice Sendak

aquio2007-11-12

「Maurice Sendak/モーリス・センダック」の
「pictures by MAURICE SENDAK」。
横六十センチ、縦四十センチ、深さ三センチの箱の中に、
「まよなかのだいどころ」や、
かいじゅうたちのいるところ」、
そして、「山羊と少年」といった、
名作と呼ばれる絵本のリトグラフが、十九枚も入っている。
「センダック」が自選し、
原画から復刻された額装用のリトグラフ
印刷されたのは一九七一年であるらしいが、
私がこのリトグラフを入手したのは、
一九七八年の春頃であったように記憶している。
長男が五歳、次男が三歳の頃。
どこで入手したのか、忘れてしまったが、
多分、書店でも売れずに困っていたものなのだろう。
当時としては、かなり高額な買い物であった・・・。
当時、私たち家族は長野県白馬村において、小さな宿を経営していた。
スキー・シーズンともなると、私も妻も仕事に追われ、
子どものことは、ついつい後回しにせざるを得なかった・・・。
子どもを寝かしつける時、
妻は毎晩のように絵本の読んで聞かせていた。
それが、妻が母として、
子どもと触れ合うことのできる、唯一の時間であったように思う・・・。
妻が絵本を読み聞かせ、
その絵本を選んで買ってくるのが、私の役目のようになっていた。
あの頃の絵本が、そう、四百冊ほどは残っているだろうか・・・。
昔、リトグラフはその名のとおり、石版を用いて刷られていた。
今では主にアルミニウムの平板が用いられているらしいが、
版を重ねれば重ねるほど、リトグラフは独特の質感を醸し出す。
同じ「かいじゅうたちのいるところ」であっても、
輪転機で印刷された絵本の絵と、
リトグラフの技法を用い、一枚ずつ丁寧に刷られた絵では、その色の深みがまったく違う・・・。
「pictures by MAURICE SENDAK」
いつまでも伝えていきたい、我が家の少ない家宝のうちの一つ。