■ ADORO

aquio2007-11-22

午後一時頃、兵庫県庁にお勤めでいらっしゃったSさんが、
私のアトリエに奥様といらっしゃる。
Sさんは昨年三月にリタイアされたのだが、
今はK大の講義を受け持ったりしながら、
悠々自適の毎日を送っていらっしゃるらしい。
Sさんとお会いするのは三年ぶりではなかっただろうか。
コーヒーを飲みながらしばし談笑。
午後二時頃、歯科医のNさんが、
やはり歯科医でいらっしゃるYさんと入ってこられる。
お二人ともとっくにリタイアされていらっしゃるのだが、
今日は六甲山を縦走してきた帰りとかであった。
いやはや元気な爺さんたちではある。
コーヒーを飲みながら、しばし談笑する。
午後三時頃、
長野県小谷村の栂池高原にお住まいのOさんがいらっしゃる。
Oさんも七年前にリタイアされたらしく、
家業は二人の息子さんが引き継いでいらしゃるとのこと。
もともとOさんは神戸の出身でいらっしゃるのだが、
今日は息子さんご夫婦とお里帰りの途中であったらしい。
Oさんとお会いするのは、実に十九年ぶりであった。
皆さんがお帰りになった後、
昨日届いたばかりの「GRACIELA SUSANA/グラシェラ・スサーナ」のCDを聴く。
一九七三年、今から三十四年前に録音された歌声。
このアルバムが発表された年、
私は眼鏡メーカーに勤める一介のサラリーマンだった。
青森県弘前市に出張していた時、
城の近くの喫茶店で流れていたのが、
この、「グラシェラ・スサーナ」の「ADORO/アドロ」という曲だった。
あの日、弘前には雪混じりの冷たい風が吹いていた。
コーヒーを飲みながら曲を聴くうち、
なんとも遣る瀬無い思いに陥ってしまっていたことを、今も鮮明に思い出す。
「アドロ」は忘れられない「歌」のうちの一つ・・・。
この弘前への出張の三年後、私は長野県の白馬村に引っ越す。
そこでOさんと知り合ったのだった。
今、午後五時を少し過ぎたあたり。
今日は珍客の多い一日だったな。
リタイアされた方々ばかりであるから、暇を持て余していらっしゃるのだろうが、
私にはそんな暇がほとんど無い。
ま、リタイアする気など更々無いのではあるけどさ・・・。
しかし、このように忘れずに訪れてくださるというのは、本当に嬉しいものである。
しかし、今日はほとんど仕事ができなかった。
ま、仕方ないね、なのであるね。