■ てんやわんや
ホテルを出ようとして、財布が無いことに気付く。
いったいどこで失くしてしまったのか・・・。
昨晩はしたたかに飲んだ。
新橋の焼き鳥屋でビールを飲み、
汐留のカレッタの洒落たバーでワインを飲んだ。
その後、Kさん、Sさんらとお別れし、
タクシーに乗ったまでは憶えているのだが、
タクシーに乗った後の記憶が吹っ飛んでしまっている。
復路の新幹線のチケットは購入済みであったし、
ホテルの支払いもなんとかなった。
しかし、財布の中には様々なカード類が入っている。
ホテルのコンピューターを借りてVISAやJCBのサイトにアクセスし、
カードの即時使用停止の手続きを行う。
最寄の交番に出向き、紛失届けを提出したが、
財布をいったいどの辺りで失くしてしまったのか、
まったく心当たりがないから、紛失場所の特定ができない・・・。
タクシーに乗り、東京駅に向かう途中、
携帯に一本の電話がかかってくる。
「昨晩、貴方の財布を拾った者である」
「貴方の財布は私が預かっている」
「引き取りに来て欲しい」
「私の勤務先は汐留のカレッタの中にある」、という連絡であった。
タクシーに乗ったままカレッタに向かい、
約束の場所で大手広告代理店にお勤めのHさんにお会いする。
財布を拾ってくださったのは、
Hさんの同僚でいらっしゃるIさんという男性であった。
先日、H銀行からT銀行の自分宛ての口座にお金を移動させたことがあったが、
その時の振込み依頼書を財布に入れたままにしていた。
Iさんはそこに記載された電話番号を頼りに、
私に連絡をとってくださった、という。
お忙しいとかで、Iさんにお会いすることはできなかった。
明日にでもお礼の品を添え、手紙をお送りすることにしよう。
クリスマスも近いから、エルツ地方で作られたおもちゃがいいかもしれない。
しかし、使えるカードがまったく無くなってしまった。
新しいカードが届くまで一週間はかかるらしい。
あと四日もすればドイツに行かなくてはならない。
カードが使えない、というのは、ちと困ったことであるな・・・。