■ GAULOISES

「ゴロワーズというタバコを吸ったことがあるかい」
「ほらジャン・ギャバンがシネマの中で吸っているやつさ」
「よれよれのレインコートのエリを立てて」
「短くなるまで奴は吸うのさ・・・・」
「かまやつ・ひろし」が歌っていた
「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」、という歌。
昔、「ジャン・ギャバン」は映画の中で
確かに「GAULOISES/ゴロワーズ」をよく吸っていたし、
「ジャン・ポール・ベルモンド」もよく吸っていた。
そして、
「アラン・ドロン」は「GITANES/ジタン」をよく吸っていた。
「ゲインズブール」が吸っていたのも「ジタン」だったかな・・・。
「ゴロワーズ」のパッケージの封を切ると、
煙草葉を熟成・醗酵させた黒煙草独特の香りが立ち上る。
馬糞のような臭いとか、牛舎のような臭い、と酷評されているが、
ブルー・チーズも慣れてしまえば病み付きになるように、
黒煙草の香りも、これはこれでなかなかのものであるように思える。
棚に飾っておいた「ゴロワーズ」の灰皿を取り出し、
コーヒーを淹れて、「ゴロワーズ」に火をつける。
部屋の照明を暗くし、読書用のライトをつけ、「チャンドラー」を読む。
煙草とコーヒーと本。
「至福」とはこういう瞬間のことを言うのだろう・・・。
コーヒーがなくなったので、新しくコーヒーを淹れなおす。
コーヒーを美味く飲むために煙草を吸うのか、
それとも、煙草を美味く吸うためにコーヒーを飲むのか・・・。
コーヒーの苦味と「ゴロワーズ」の酸味が実によく似合う。
「来た・見た・勝った」で有名な「ガリア戦記」に書かれた「ガリア」。
「ガリア」というのは、現代のフランス辺りの古名。
で、昔は「ガリア人」のことを「ゴロワ」と表現し、
「ゴロワ」の女性形を「ゴロワーズ」と表現したらしい。