■ 鰻と狼

aquio2007-12-18

「はい、十一日遅れのバースディ・プレゼント」、
と職場のYちゃんが大きな封筒を手渡してくれる。
Yちゃんとは久しく顔を合わせていなかった。
封を切ると、中から二枚の切り紙絵が出てきた。
左手(左前脚?)を腰にあて、
「プッハー」と煙草の煙を吐き出している狼と、
腰に両手(両前脚?)をあてて佇む狼、の二枚の切り紙絵。
「これは何のイメージかな?」、と訊ねると、
「Nさん(私のこと)のイメージ」、という答えが返ってきた。
どうやら、
職員たちの間では、私は「狼」というイメージを持たれているみたい・・・。
両手を腰にあてている狼は、
私がアトリエの中でもの思いに耽っている時のイメージ。
煙草をふかしている狼は、
私が一仕事終えた時のイメージであるらしい。
「ど〜んなもんだい!」
「矢でも鉄砲でも持ってきやがれ、ってんだ!」、
というような顔つきで煙草を吸っていることがあるらしい。
「豚と言われるよりはマシやけど、しかし、俺のどこが狼やねん?」、と訊くと、
「美しい女性を見ると犬のようにすぐ尻尾を振る」
「しかし、犬のように従順な部分は欠片も持ち合わせていない」
「いつもニコニコしているが、時折牙が見えることがある」、
という返事が返ってきた・・・。
「しまった!」なのであるね。
これから尻尾は両足の間に挟んでおくことにしよう。
能ある鷹は爪を隠す、と言うではないか。
下心のある狼は尻尾を隠さなければならない、のだった。
しかし、Yちゃんに絵心があるとは今まで気付かなかった。
一生懸命に作ってくれたのだろう。
お礼に、元町「青柳」の鰻をご馳走することにした。
店に近づくにつれ、鰻を焼く香ばしい匂いが漂ってくる。
鰻重を二つ注文する。
「どう?」と訊くと、
「こんなに美味しい鰻を食べたのは初めてです」
「鰻ってこんなに香ばしくって軟らかい食べ物だったんですね」、という答えが返ってきた。
喜んでいただけて何より。