■ Hさん
数年前、それまでの職を捨て、
Hさんはオートマタ作家になる道を選ばれた。
「オートマタの本場で勉強してくる」、
とイギリスに一年ほど留学されていらっしゃったのだが、
このほど、無事に帰国された。
今日、そのHさんとお会いする。
広島からわざわざやって来てくださった。
作品を見せていただいたのだが、
いや、なんとも素晴らしい・・・。
ハンドルを回すと、
「T」と書かれた台の上で人形が勢いよく回転を始める。
紐で連結された人形の両腕は、
回転が始まると同時に大きく左右に広げがる。
つまり、両腕を広げた人形が「T」の形を作るのだ。
人形に刻みつけられたノミの痕もなかなかの雰囲気をかもし出している。
人形のプロポーションもいいし、
着色の具合もなかなかによろしい。
青森のT君、名古屋のBさん、博多のHさん、
広島のHさん、そして私・・・。
日本広しと言えど、
オートマタの製作に関わる人間は、たったの五名しかいない・・・。
ま、儲からない仕事であるから従事する人間の数も少ないのであるが、
仲間が増えれば、それはそれで一つの力になっていくはず。
午後九時頃、目の奥が急にキリキリと痛み出した・・・。
失礼して、少し目を瞑らせていただくうち、
いつの間にか、炬燵に足を入れたまま眠ってしまっていた。
目覚めれば、時間は深夜の一時を過ぎていた。
今朝は六時半に起床。
Hさんがお休みになられているうち、神戸の職場に向かって出発する。
せっかくお越しいただいたのに、
大変申し訳ないことをしてしまった。
まだまだお話しなければならないことがたくさんあったのだが・・・。