■ 新潟

aquio2007-12-27

神戸から京都、
京都から富山、
富山から直江津を経由して柏崎に向かう。
列車が糸魚川に近づくにつれ、
後立山連峰
いわゆる北アルプスの峰々が右側に見えてくる。
今から三十九年前の冬、
私が二十二歳の時、
まだ私が某企業に勤めるサラリーマンであった頃、
緊急の仕事を抱えて上司と山形に出張したことがあった。
解けた雪で水浸しになった山形駅の構内は、
スキー場に向かう若者たちで立錐の余地もなかった。
そんな中で、
ネクタイを締めていたのは、私と上司の二人だけだった。
その頃、
私にはスキーを楽しむなどどいう経済的な余裕はまったくなかった。
スキー場に向かう若者たちを羨望の目で見ながら、
私と上司はその夜の宿に歩いて向かった。
車窓から見える北アルプスを眺めているうち、
すっかり忘れていた若い頃の出来事を、
まるで映画の中のフラッシュ・バックの一シーンのように思い出す・・・。
それから八年後、私は北アルプス五竜岳の麓に小さな宿を開業する。
五竜とおみスキー場」のゲレンデのすぐ近く。
車窓から見える北アルプスを眺めながら、
「俺はあの峰の裏側で十三年間を過ごしたのだなぁ・・・」
「Мさんは未だにあの村で過ごしていらっしゃるのだろうか」
「Oさんはお元気だろうか」、などと感慨に耽る・・・。
北アルプスはいろいろな思い出が詰まっているところ。
いつか、リタイアする日が来れば、
リタイア出来ればの話だが、
マスタングを駆ってこの辺りを走ってみたいな」、
などと取りとめもないことを想像する。