■ 自己管理
風邪がぶり返してしまった。
昨晩から咳が止まらない。
どうやら、
大晦日から元日にかけての徹夜が影響しているようである。
ついつい私は自分の歳を忘れて行動してしまうことがある。
気分は三十五歳ほどのつもりなのだが、
身体は正直なものであるなぁ・・・。
この歳になっても自己管理がまったく出来ていない。
ゲホゲホ・・・、と咳き込んでいたら、
「また夜遊びしたんでしょう!」
「少しは歳のことを考えたらどうですか!」
「もう若くはないんですから!」
などと職員たちから注意を受ける始末。
すっかり見透かされてしまっている・・・。
自己管理といえば、
昔、私が十九歳の時、
猛烈な腹痛に見舞われたことがあった。
友人宅に電話を入れると、友人もまた腹痛でのた打ち回っていた。
思い当たるのは、前夜に二人で食べた鯖寿司であった。
ま、後にも先にも、食べ物に当たるなどという経験はこれ一度っきりであるのだが、
その日は、アルバイト先で重要な作業をしなければならない日であった。
アルバイト先の社長に連絡をとったところ、
「腹痛と風邪は個人の責任である」
「腹痛と風邪はある程度予防できるものである」
「従って、君たちの欠勤は認められない」
「這ってでも出社するように」、というきついお達しが返ってきた。
仕方がないから、二人して這って会社に出勤した・・・。
二人ともよほどひどい顔をしていたのだろう、
二人の顔を見るなり、社長は「プッ」と吹きだし、
「分かった、今日はもう帰ってよろしい」、と言ってくれたが、
こちらにも這ってでも出勤してきた「意地」ってものがある。
「いえ、仕事をしてから帰ります」、と答えたが、
作業場とトイレの往復で一日が過ぎてしまったことを懐かしく思い出す。
この会社の社長とは数年前まで交流があった。
お会いする度、話は必ず「鯖事件」に遡るのが常だった。
すでに鬼籍に入られてしまった社長だが、
仕事の厳しさを教えてくれた恩人ではあったな・・・。