■ 整理・その13・EPINAL/エピナール

aquio2008-01-27

スイス・ネフ社の創業社長でいらっしゃった
「クルト・ネフ」さんは、
以前、フランスのロレーヌ地方、
エドワールという名の小さな村にお住まいであった。
おもちゃデザイナーでいらっしゃるOさんと、
おもちゃデザイナーの卵であったT君と私。
その三人で「ネフ」さんのご自宅を訪問したのは
今から十二年ほど前の夏のことだった。
「この近くにはガラスで有名なナンシーという町がある」
「また、印刷で有名なエピナールという町もある」
「どっちに行きたい?」、と「ネフ」さんがおっしゃるので、
「エピナール」に連れていっていただくことにした。
先日、ポスター類の整理をしていたら、
紙筒の中から、
「ネフ」さんに買っていただいた「エピナール」のポスターが三枚出てきた。
版画製造の最大手であった「Pellerin/ペルラン」社の工場で買っていただいたポスター。
「ペルラン」社は二百年ほど前に設立された会社。
もっとも、「ペルラン」社は我々が訪れる十年ほど前に倒産していたが、
グーテンベルクが発明した印刷機であるとか、
九色自動印刷機であるか、二百年前の版木であるとか・・・、
印刷に関わる歴史的な遺物が散逸してしまうのを惜しんだ地元の企業が、
「Imagerie d'Epinal」という名の新しい会社を設立していた。
その「ペルラン」の工場跡を見学させていただいたのだが、
「ペルラン」社が得意としていたのは、
日本の「浮世絵」のような木版画、と言えば分かりやすいだろうか・・・。
もっとも、その表現には「浮世絵」ほどの華麗さと流麗さは見当たらないが、
中には、その「浮世絵」に強く影響を受けたであろう、と思われる印刷物も多く見受けられた。
博物館の係員に訊いたところによると、
「昔、日本の浮世絵に興味を持ったフランス人絵師がいた」
「そのフランス人は日本に住んでいたことがある」
「確か、日本人の妻もいたはず」
「その絵師の名前はビゴーという」
「ビゴーはペルランのために多くの絵を残している」、ということであった。
なかなか見つけることができなかったのだが、
明日、その「ビゴー」についての資料が手元に届く手筈になっている。