■ 整理・その19・Kegel/Trichter

aquio2008-02-06

建築家として知られる、
「HUgo Kuekelhaus/フーゴ・キューケルハウス」が
その生前にデザインしたという独楽を入手する。
近年になり、
「キューケルハウス」の家族が商品化したモノであるらしい。
直径十五センチ、厚み四ミリの白い板に、
直径一センチほどの小さな黒い点が、
その中心よりわずか離れた所に印刷されている。
そして、その小さな黒点を取り囲むように、
四つの細長い三日月形の模様が描かれている。
ただそれだけのプレートなのだが、
このプレートをゆっくりと回転させると、
そこには、まるで「カルデラ」のようなパターンが現れる。
平面の独楽を回転させると、三次元の模様が現れる・・・。
すり鉢状に落ち込んだ部分から円錐状の「山」が立ち上がり、
黒点の部分が落ち込んでいるように見える。
発売元の説明書を読むと、
「人間の目が左右対称ではない模様の中に仮想の中心点を探すためこのような現象が起きる」、
と説明されているが、はて、どういう意味なんだろうか・・・。
前述したように、
直径一センチほどの黒点が、円盤の中心よりわずか離れた所に印刷されている。
もう一度試してみると、
黒点は偏心、つまり中心より偏って印刷されているのだが、
脳はその黒点を円盤の中心と見なし、
目は、常にその黒点を行方を追いかけていることが理解される。
で、その黒点の周囲に描かれたいくつかの三日月形のパターンを、
脳が立体として認識する、ということである。
つまり、平行して設置されている線路であっても、
人間の目には、遠くに見える線路の幅は先が細まって見える。
いわゆる「遠近法」だが、
これをこの円盤に描かれた三日月形のプリントに置き換えてみると、
三日月の太くプリントされた部分は「手前側」であり、
同じく、細くプリントされた部分は「向こう側」である、
と脳が認識するから、平面に描かれたパターンが立体に見えるのだ。
「な〜るほどね!」、なのであるね。
人間の持つ「距離感」を逆手にとってデザインされたような独楽。
それをデザインした「キューケルハウス」の能力には脱帽するしか、ないな。