■ シフト・ダウン
昨夜も十センチほどの積雪があった。
凍てついた雪の上に新雪が降り積もっている。
山では表層雪崩が起きるに違いない。
このような日は車の運転もし辛いものがある。
事故を起こさないよう、
二十キロから四十キロの速度を保ちながら、
慎重に車を麓に向かって走らせる。
自宅から二十キロほど離れた所で、
黄色い車が二メートルほど下の田圃に転落していた。
少し離れた場所では、紺色の車がガードレールに激突していた。
古町の交差点を過ぎた辺りから、
白のミニバンが私の車のすぐ後ろをつけてきていた。
日差しの関係で、
右にカーブする道路の路面の雪が解けている場合、
左にカーブする道路の路面は凍結している場合が多い。
左カーブが近づく度、
ギアを四速から三速、三速から二速・・・へとシフトする。
ブレーキを踏まず、エンジン・ブレーキを多用しながら走るのであるから、
当然、ブレーキ・ランプは点灯しない。
ブレーキ・ランプが点灯しないから、
後続車は私が車を減速させたことに気付かない。
急速に車間距離が狭まってくる。
バック・ミラーで確認すると、後続車の運転手が慌ててブレーキを踏む様子が見てとれる。
凍てついたカーブにおける急ブレーキほど怖いものはない。
多分、雪道の怖さを知らないのだろう、
それでも、後続車は車間距離を一向に開けようとしない・・・。
「バッカじゃないの!?」、なのであるが、
幾つか目の左カーブで、後続車はとうとうコントロールを失ってしまった。
バック・ミラーで確認すると、
後続車は積み上げられた雪の壁の中に頭を突っ込んでいた。
「わっはっは、ざまぁみやがれ」、なのであるね。
職場には一時間遅れで到着。
H君の車の右側前部と右側後部のライトが大きく壊れていた。
自宅近くの道路でスピンしたらしい。