■ 整理・その21・600 Black Spots

aquio2008-02-22

「David A Carter/デーヴィッド・A・カーター」の新作。
「カーター」は過去に四十種ほどのしかけ絵本を発表しているが、
この「600 Black Spots/くろまるちゃん」は、
「One Red Dot/あかまるちゃん」
「BLUE 2/あお2ちゃん」に続く、
「geomerical/幾何学的」表現を用いたしかけ絵本
情緒的な表現が多いしかけ絵本の世界にあって、
これら三部作は異彩を放っている。
表紙を開くと、
長さ約二十センチ、幅約五ミリほどの細長い紙、
四十五本の細長い紙が螺旋状に立ち上がってくる。
次頁を開くと、
白い台紙の上に白・赤・黄・赤の線が複雑に浮かび上がり、
六十の黒い点が、これまた線上に複雑に配されている。
台紙には「Mondrian floats with shadows」と印刷されている。
モンドリアンが影とともに浮かび上がる」、とでも訳せばいいのだろうか、
確かに、「Mondrian/モンドリアン」の「コンポジション」を彷彿とさせる構図ではあるな。
前作の「One Red Dot」も「BLUE 2」もそうであったが、
この「600 Black Spots」も、
その配色は赤と青と黄と黒と白の五色に限定されている。
白いキャンバスに描かれた、
モンドリアン」の「赤・青・黄・黒のコンポジション」を倣っているのだろう。
次頁を開くと、
黄色い台紙の上に、形容のし様のない複雑な形が捩じられるように立ち上がってくる。
台紙には「Twisting Still Life sunflower」と印刷されている。
「捩じれる向日葵の静物画」、とでも約すのだろうか。
よく分からないが、
そう言われれば、なんとなく「向日葵」に見えてくるから、不思議・・・。
「カーター」には「Easter Bugs」や「Love Bugs」という作品があるように、
彼は「虫」が大好きであるようだが、
この「600 Black Spots」にも、虫の触覚や触鬚らしき形態の突起が頻繁に登場する。
こうなってくると、「幾何学抽象絵画」というか、
モンドリアン」の世界からは遠く離れていってしまうのだが、
ま、立体的な抽象絵画としても十分に楽しめる一冊ではある。