■ チルチル・ミチル
昨日、Kさんが「会社を辞めたい」、と言ってきた。
理由を質すと、「私はこの職業に向いていない」、と言う。
「どんな職業が自分に向いていると思うの?」、と訊くと、
「さぁ・・・」、という返事。
「いろいろと他のことも体験したい」、と言う。
どうやらKさんは「自分探し」の旅に出る決心をしたらしい。
「自分探し」とは随分と格好のいい言葉ではあるが、
要は、いい歳をした大人が「迷子」になってしまった、
ということではないのだろうか・・・?
自分に適した仕事など、そう簡単に見つけられるはずはない。
探し歩いて見つからなければ、どうするんだろう?
自分に適した仕事を探したいのであれば、
自分を仕事に適した方が手っ取り早い、と思うのだが、どうだろう?
昔、私は北アルプスの麓の村に住んでいたことがあった。
山の中で迷子になった人間の末路を何度も見聞きしてきた。
山の中で方向を見失った時など、
経験の浅い人間は必ず下へ下へと下っていってしまい、
ますます方向を見失ってしまうものである。
山の中で方向を見失った時は、逆に、高い所に登らなければならない。
見晴らしの良い場所に立てば、方向は手に取るように分かる。
山の中で迷子になってしまったら、山の中をウロウロと徘徊してはいけない。
それがセオリーであるのだね。
仕事も同じ、ではないかなぁ?
まずは見晴らしの良い場所を目指すべきではないだろうか・・・?
そんなコトをKさんに話してみたのだが、
Kさんの辞意は固いようであった。
「ま、仕方がないね」、なのであるね。
「メーテルリンク」の「青い鳥」の例を持ち出すまでもなく、
幸せの青い鳥は案外身近なところにいるものである。
いつまで「チルチル・ミチル」ごっこを続けるつもりなんだろうか・・・?
今朝から岡山の職場に出勤している。
職場の玄関は屋根から落ちた雪でスッポリと埋もれていた。