■ うずうず
本来はもの作りをする人間なのだが、
気が付けば、
いつの間にかもの作りの道から大きくずれてしまった。
来し方は自分が望んで歩いてきた道であり、
大筋では間違ってはいなかった、とは思うものの、
近頃、「ちょっと違うんとちゃうやろか!?」
「この道をこのまま歩いていってもええんやろか!?」、
などという疑念が頭をもたげるようになってきた・・・。
仕事を抱えているというワケでもないし、
かといって、疑念を振り払うため、というワケでもないのだが、
とにかく、夜毎にスケッチ・ブックを広げては、
思いつくままにいたずら描きを楽しんだりしている。
そうしてたまった数冊のスケッチ・ブックを見直してみると、
中には使えそうなアイデアが、いくつかある。
もの作りをしたくてうずうずするのだが、
今の状況下では、そうは問屋が卸してくれそうにない・・・。
もの作りは自分との対話でもあるが、
近頃は、自分とお喋りする、その時間が無い。
一心不乱に木を削っていると、
時折、ふと自分を見つめている自分を感じることがある。
木を削っている自分を、後方からジッと見つめている自分がいる。
よく切れるナイフで木を削るのはとても気持ちがいい。
「なんて気持ちがいいのだろう・・・」、
と感じている自分を見つめるもう一人の自分がいる。
「まな板に向かっている自分を見つめているもう一人の自分がいる」、
と料理研究家のDさんも、昔、同じようなことを言っていたなぁ・・・。
アイデア・スケッチを眺めているうち、
からくり人形の新しいシリーズを思いつく。
不定期ではあるが、岡山の職場では「からくり人形塾」を開催している。
次回からは、このシリーズを展開してみることにしよう。
そのためには図面を描かなければならないし、試作もしなければならない。
少しは手作業に没頭する時間を持つことにしよう。
少しはうずうずも解消されるかもしれない・・・。