■ おもちゃ

aquio2008-04-05

「持て遊ぶ」が「もちゃそぶ」に変化し、
「もちゃそぶ」の「もちゃ」に「お」がついて「おもちゃ」。
これが「おもちゃ」という言葉の語源。
「まるでおもちゃのよう・・・」
「あの人におもちゃにされた」
「人の心をおもちゃにする」
語源がそうであるからか、
日本語の「おもちゃ」という言葉には、
「つまらないもの」「贋物」「安価なもの」
「弄ぶもの」「慰みもの」、というような意味が含まれる。
「おもちゃ」という言葉には常に負のイメージが付きまとっている。
私はからくり人形やおもちゃのデザインと製作に関わってきたが、
三年前の神戸トア・ロードにおける個展を最後に、
国内における個展活動は停止している。
「おもちゃ」という言葉が持っている、負のイメージの「壁」がどうしても越えられない。
ところが、欧米にはその言葉の「壁」がまったく、ない。
ただ単に、その作品の出来映えの良し悪しだけで判断される世界・・・。
いいモノはいい、駄目なモノは駄目!
単純明快な世界であるから、私にとってはそちらの方が住みやすい。
「積み木」は「積む」と書くから、
ついつい、人は積み木は積むものであると思い込んでしまう。
しかし、積み木は横に並べていっても面白い。
このように、人は言葉を用いて思考するから、
一つ一つの言葉の持つ意味やイメージが、
その人の行動や言動を制限してしまうことが、あったりする。
ま、欧米でも同じようなことはあるのだろうが、
「おもちゃ」という言葉に限ってのことではあるが、
負のイメージがつきまとう国での活動は、もう止めることにした。
一昨年の十二月に私は還暦を迎えた。
人生のカウント・ダウンが始まっている。
住み難い場所に留まっていなければならない理由はどこにも、ない。
あと何年生きられるか分からないが、
個展を開くなら、真っ当な評価が受けられる国で開催したい、とそう思っている。
どうにもならないコトに精力を使うほど疲れることはない。
とは言うものの、「来年の春頃には東京で個展を開いてみようか」、
などと考えたりもしている・・・。