■ 結婚式
甥っ子の結婚式に出席する。
主賓のスピーチが終わった後、乾杯の音頭をとる。
主賓のスピーチは少々長くても構わないが、
乾杯の音頭に際しては、
そのスピーチは簡単明瞭、かつ洒落ていなければならない。
そのあたりが腕の見せ所なのだが、
甥っ子の父親、つまり、私の弟に訊くと、
「まぁまぁのスピーチやったね」、ということであった。
しかし、列席の方々からは大きな拍手を頂戴したから、
ま、九十八パーセントの出来であったと思う。
そういうことにしておく。
それにしても、結婚式とはいいものであるなぁ・・・。
花嫁と花婿は初々しいし、
列席の方々も、皆一様にニコニコしている。
世の中がいつもこれほどにこやかであればいいのに、と思う。
よほど嬉しかったのだろう、
花嫁のお母さんは最初から泣きっぱなしであったな。
甥っ子は世界のあちこちを放浪してきた。
アルバイトで金を貯めると、その金を持ってベトナムやインドを旅してきた。
花嫁とはそのアルバイト先で知り合ったらしいが、
思い付いたら行動に移さずにはいられない、
あの甥っ子の性格に花嫁は付いていけるのだろうか・・・?
そのことを花婿の母、つまり、私の義妹に聞き質すと、
「あの子はいつも走りながら考えます」
「走り出す前に考えたりは決してしません」
「あの性格はN家の遺伝でしょうね」、ということであった。
ちなみに、N家とは私の家の家系のことである。
ま、そうかも知れん・・・。
「お義姉さんもよくお義兄さんについていっていますよね」、とも言われてしまった。
ちなみに、お義兄さんとは私のことである。