■ 整理・その34・口笛人形

aquio2008-06-22

サッサと早く寝ればいいものを、
昨日は深夜の二時ごろまで、
壊れた「口笛人形」の修理に取り組んでいた。
今から十年ほど前に入手した「口笛人形」。
背中の蓋を開けると、
驚くほど精密なメカニズムがぎっしりと詰まっている。
ゼンマイの力で大きな「鞴/ふいご」がゆっくりと上下する。
「鞴」は空気を送り出す装置だが、
その「鞴」の先に、
直径十ミリ、長さ三十ミリほどの
「ホイッスル」が取り付けられている。
つまり、「鞴」が「ホイッスル」に空気を送り込むことによって、
「ホイッスル」はあたかも人が口笛を吹いているかのような音をたてる。
ただ、これだけではメロディが生まれない。
トランペットには三本の「ピストン」が装着されている。
この三本の「ピストン」を上下させることでメロディが生まれるのだが、
それと同じように、
「口笛人形」の「ホイッスル」にも一本の「ピストン」が装着されている。
つまり、この「ピストン」が「ホイッスル」の中を出たり入ったりすることで、
単純ではあるが、「ホイッスル」はメロディらしき音を奏でるのだ。
実によく出来ている・・・。
また、この「口笛人形」は、その首が左右に振るように出来ている。
ゼンマイの回転運動が人形の首を左右に振る運動に変換されているのだが、
その仕組みたるや・・・。
単純だが、実によく考えられている。
その駆動部分を分解し、油を注して調整する。
今から三百年ほど前、スイスに「Jaquet Droz / ジャケ・ドロー」という名の天才時計職人がいた。
「ジャケ・ドロー」は様々なからくり人形を制作したが、
彼が発明したものの中に、「Singing Bird Box」と呼ばれる小さな鳥のからくりがある。
小さな箱の中から小さな鳥が飛び出してきて、
くちばしや羽を震わせながら美しい声でさえずる、というからくり。
この「口笛人形」に内蔵された基本的な仕組みも、
その「Singing Bird Box」のからくりが使われている。