■ ダブルプレー

aquio2008-09-06

「ロバート・B・パーカー」の「ダブルプレー」を読み終える。
小説に登場するのは、
黒人初の大リーガーである「ジャッキー・ロビンソン」と、
彼のボディ・ガードである、白人の「ジョゼフ・バーク」の二人。
「ロビンソン」は「ドジャース」に在籍した実在の人物であるが、
「バーク」は「パーカー」が作り出した人物。
一九四六年まで、
大リーグはその門戸を黒人には開いていなかったらしい。
その門戸を初めてこじ開けたのが、
この「ジャッキー・ロビンソン」であった。
彼の華麗なプレーは野球ファンを唸らせ、
一九四七年の新人王のタイトルを獲得する。
小説の後書きによると、
その年に行われた世論調査では、
ビング・クロスビー」に次いで人気のあるアメリカ人に、
この「ジャッキー・ロビンソン」が選ばれた、という。
しかし、白人による弾圧や差別も相当に強いものであり、
また、黒人社会からも圧力を加えられていたらしい。
当時、アメリカには大リーグの他に、
黒人選手だけがプレーできるニグロ・リーグというのが存在した。
ジャッキー・ロビンソン」が大リーグで活躍すればするほど、
第二の「ジャッキー・ロビンソン」を目指す若者たちが大リーグ入りを目指すようになる。
つまり、ニグロ・リーグが衰退していってしまう、というのである。
ニグロ・リーグで金を儲けていた黒人たちからも、
ジャッキー・ロビンソン」は標的にされていってしまうのだった。
小説はまったくのフィクションであるが、
常に命を狙われている「ロビンソン」と、
彼のボディ・ガードである「バーク」との友情と信頼が実に見事に著されていた・・・。
インターネットで「ロビンソン」のことを少し調べてみた。
「ロビンソン」の登場はその後の公民権運動に大きな影響を与えたが、
あの「マーチン・ルーサー・キング」の運動には批判的な立場であった、という。
また、「ロビンソン」が最初にテストを受けたチームは「ボストン・レッド・ソックス」であったが、
「レッド・ソックス」は端から黒人を入団させるつもりなどなく、
御座なりなテストを受けさせただけであったらしい。