■ ダブルプレー
「ロバート・B・パーカー」の「ダブルプレー」を読み終える。
小説に登場するのは、
黒人初の大リーガーである「ジャッキー・ロビンソン」と、
彼のボディ・ガードである、白人の「ジョゼフ・バーク」の二人。
「ロビンソン」は「ドジャース」に在籍した実在の人物であるが、
「バーク」は「パーカー」が作り出した人物。
一九四六年まで、
大リーグはその門戸を黒人には開いていなかったらしい。
その門戸を初めてこじ開けたのが、
この「ジャッキー・ロビンソン」であった。
彼の華麗なプレーは野球ファンを唸らせ、
一九四七年の新人王のタイトルを獲得する。
小説の後書きによると、
その年に行われた世論調査では、
「ビング・クロスビー」に次いで人気のあるアメリカ人に、
この「ジャッキー・ロビンソン」が選ばれた、という。
しかし、白人による弾圧や差別も相当に強いものであり、
また、黒人社会からも圧力を加えられていたらしい。
当時、アメリカには大リーグの他に、
黒人選手だけがプレーできるニグロ・リーグというのが存在した。
「ジャッキー・ロビンソン」が大リーグで活躍すればするほど、
第二の「ジャッキー・ロビンソン」を目指す若者たちが大リーグ入りを目指すようになる。
つまり、ニグロ・リーグが衰退していってしまう、というのである。
ニグロ・リーグで金を儲けていた黒人たちからも、
「ジャッキー・ロビンソン」は標的にされていってしまうのだった。
小説はまったくのフィクションであるが、
常に命を狙われている「ロビンソン」と、
彼のボディ・ガードである「バーク」との友情と信頼が実に見事に著されていた・・・。
インターネットで「ロビンソン」のことを少し調べてみた。
「ロビンソン」の登場はその後の公民権運動に大きな影響を与えたが、
あの「マーチン・ルーサー・キング」の運動には批判的な立場であった、という。
また、「ロビンソン」が最初にテストを受けたチームは「ボストン・レッド・ソックス」であったが、
「レッド・ソックス」は端から黒人を入団させるつもりなどなく、
御座なりなテストを受けさせただけであったらしい。