■ 風邪

よほどひどい顔をしていたのだろう、
「これ、かぜにいいで〜す」、
「しょ〜がと〜、たくさんしゅるいあります」
「バット、しかし、これいちばんです」、
とリンさんが
「うどんや風一夜薬本舗」の生姜湯を持ってきてくれる。
どこでそんな知識を手に入れたんだろう・・・？
夕方、カナダに住むさっちゃんがやって来る。
彼女はチベットで孤児支援活動を続けている女の子。
カナダで稼いだ金を、
チベットにおける孤児支援活動に充てているのだが、
彼女に会うのは実に七年ぶりのこと。
「私、チベットで十四人の子どもの母親やってますねん」、と言う。
「君の子どもはどうなってんねん？」、と訊くと、
「来年あたりかな」、と明るく笑う。
この子は実にいい子だね・・・。
チベットのお土産に、
「メンソレータム」を液体にしたような「SANCHO / サンチョ」と、
「ポタラ宮殿」というブランドのお香を頂戴する。
ズビーッと音をたてて洟をかんでいる私を見て、
「サンチョを鼻の下に塗って寝たら効きますよ」、と言ってくれる。
夜、熱く溶いた生姜湯を飲み、鼻の下と肩に「サンチョ」を塗ってみた。
肩の辺りが軽くなったような気がしないでもないが、
効果をさらに高めるため、デーヴィッドにもらった「グラッパ」も数杯飲んでみた。
身体がカッと熱くなる。
明日には直ってくれているといいのだが・・・。
「ポタラ宮殿」は怪しい香りであったぞ。