2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

■ Hさん

カラクリ人形の制作を生業とする前、 私にとって、それはただの趣味でしかなかった。 自宅の部屋を飾るインテリアとして、 暇を見付けてはコツコツと作っていたが、 今から二十年ほど前、 池袋の「LOFT」で個展を開くチャンスを得た。 大きなチャンスではあ…

■ 最後の晩餐

岡山「日笠農産」の黒豚が手に入る。 パン粉を用意し、溶き卵を用意する。 トンカツを作ろうとして、 アパートには鍋が無かったことに気付く。 鍋が無いから、 フライパンにバターを放り込んで焼くことにした。 厚めの豚肉を使ったピカタといったところ。 火…

■ カルーア

いつもの店でパイプ煙草を選んでいたら、 「こんなのもあるよ」と、 店の親父が薄っぺらい缶を持って出てきた。 缶には「カルーア」のマークが印刷されていた。 コーヒー・リキュール、 カルーアの香り付けがなされた葉巻きであるらしい。 「どう、美味しい…

■ 打算

T「アンタさぁ、女を愛したことあんの?」 私「ヘッ?薮から棒にいったい何でんねん?」 T「だからさぁ、女を愛したことがあるのかって、 そう訊いてるのよ!」 私「はぁ、何度かおますけど・・・」 T「じゃぁさぁ訊くけど、愛っていったい何よ?」 私「…

■ 呉

二十二日の夜、 呉にお住まいのKさんと二年ぶりに会う。 挨拶もそこそこに、 まずは焼き鳥で一杯ということになる。 中央二丁目の「鳥正」に向かう。 この店に来るのはこれで二度目。 この店の焼き鳥は本当に美味しい。 焼き加減は絶妙。 鶏肉そのものにも…

■ UNDERBERG/ウンターベルク

新潟のMさんから「越の誉」を頂戴する。 東京からOがやって来ていたので、 職員のTを呼んでアパートで酒盛りを催す。 アチラと思えばまたコチラ・・・。 話が弾んで、 とうとう昨夜(今朝?)は三時まで飲んでいた。 さすがに胃が重く感じられる。 今日は…

■ 同窓会

若い頃、 ある商店でアルバイトをしていたことがある。 十九歳から二十一歳までの間。 この商店のS社長には 物心両面の支援を受けた。 失敗してはよく怒鳴られたものだった。 昨夜、 その商店でアルバイトをしていた連中の同窓会があった。 会場は、 商店一…

■ ?

職場の駐車場は、 職場から五百メートルほど離れた山の上にある。 今日は朝から雨がシトシトと降っている。 こんな日は、 傘をさして職場まで歩くのだが、 いつも、着くまでに靴がシットリと濡れてしまう。 今朝はいつもより早くアパートを出た。 いつもとは…

■ NAEF/ネフ・その2

パトリックさんとリーアさんに頂いた 「ネフ・シュピール・ミニ」と「ミニ・ジュバ」。 ネフ社の創業者でいらっしゃった 「クルト・ネフ」さんに初めてお会いしたのは、 今から十年ほど前のこと。 ある博物館が催した 「Contemporary Toy of the Year」、 「…

■ NAEF/ネフ

スイスの玩具メーカー、 「NAEF/ネフ」社の副社長である 「パトリック・ルーティスハウザー」さんと、 輸出担当の「リーア・ホフマン」さんがいらっしゃる。 愛知万博の視察と、 個人的な日本旅行が目的の来日。 愛知万博のスイス館には、 ネフ社の製品が紹…

■ 影踏み

急用ができ、 自宅のある岡山県H村に帰ってきた。 昨夜は 庭に咲く片栗の花と葉の天婦羅が食卓に出た。 葉にはモチモチとした食感があって とても美味しい。 H村には片栗が群生する斜面があるが、 他所者にはその在り処を教えない決りがある。 教えたが最…

■ きっちゃてん

元町に出ると、 必ず立ち寄る喫茶店がある。 なかなかに美味しいコーヒーを飲ませてくれる。 煉瓦を敷き詰めた床。 表地を何度も張り替えたと思われる椅子。 脚をL字金具で補強した椅子。 漆喰の壁。 薄暗い照明・・・・。 ここには昭和三十〜四十年代の雰…

■ アババ

三月十九日付けの日記をご覧になった方から、 メールを頂戴しました。 「ババアどもが作品を弄くりまわしていた」 「ババアとは、花も恥じらう乙女の時代も あったであろう人のこと」という、 その記載が問題であるというご指摘です。 「?????」 私はテ…

■ MASQUERADE/仮面舞踏会

Are we really happy here with this lonely game we play ? Looking for words to says. Seaching but not finding on understanding any way. We're lost in a MASQUERADE. 「こんなに孤独な芝居を続けていて、 私たちは本当に幸せなんだろうか・・・」 「…

■ つくしの瓶詰め

タンポポの瓶詰めを作った時、 「つくしではできないだろうか?」と、 試行錯誤しながら作った「つくしの瓶詰め」。 作り方はいたって簡単。 1:つくしの軸の部分に細い針金を通す。 2:発砲スチロールに突き刺し、 日陰で一週間ほど干す。 3:つくしの頭…

■ タンポポの瓶詰め

舌状の小さな花弁がたくさん寄り集まって 一つの花を構成する。 そんな、タンポポのような花のことを 「舌状花」と呼ぶらしい。 タンポポの黄色い花が散った後、 花を支えていた根っこの部分(総包?)を 上から覗いてみると、 中には綿毛がぎっしりと詰まっ…

■ TAKE IT EASY !

東京のOさんからパイプ煙草を頂戴する。 アメリカ・バージニア産の「IRISH CREAM」と、 ドイツ産の「TAKE IT EASY!」の二種類。 初めて目にする銘柄。 早速、TAKE IT EASY!から試してみる。 とても軽い。 ココナッツとラズベリーを混ぜたような、 素晴らし…

■ 花韮

いつもの道順を少し変えてみた。 裏通りや路地を選びながら職場に向かう。 民家の石垣に、 薄紫色の可憐な花が咲いていた。 香りを嗅いでみると、 葉や茎から「韮」のような臭いがする。 携帯のカメラで写真を撮る。 山野草の図鑑で調べてみたところ、 南米…

■  S君

友人の息子のN君が、 友人のT君を連れてアトリエにやって来た。 T君は京都市立芸大の入試に失敗したらしく、 痛々しいほどに落ち込んでいた。 私は関西では有名な進学校で学んでいた。 進学率は常に百パーセント。 同窓生たちは東大や京大といった 国立大…

■ 歯車

S社の社長・Tさんから置き時計を頂戴する。 S社は時計の製造会社。 むき出しの歯車がカチカチと時を刻んでいく。 買おうかどうしようかと迷っていた時計。 メカ好きの人間にとって、 その仕組みの複雑さはたまらないほどの魅力。 懐中電灯に水色のセロフ…

■ オートマタ・その8/個展

「個展の用意はいかがですか」と、 呉の「BOTAN」のKさんから連絡が入る。 「えっ、来年じゃあなかったですか?」 「いえいえ、お約束は今年ですよ!」 「ゲッ!」 二年に一度、 Kさんちのギャラリーで 個展を開かせていただくことになっているが、 …

■ 春雷

大気の状態が不安定であるのだろう、 ゴロゴロと春雷の音が遠くで聞こえる。 庭の「三椏/みつまた」の花が咲きだした。 その昔、 H村は和紙の原料となる 三椏の栽培の盛んな村であったらしい。 植えた憶えはないのだが、 いつの間にか、 庭には数本の三椏…

■ 崩壊

自宅のあるH村に帰る。 村の入り口にあった大根畑は、 一面の菜の花畑に変わっていた。 以前にも増して、 村には、 懐かしい田舎の原風景が戻ってきたように感じる。 六月ともなれば、 川の水面の上を蛍が乱舞するようになるが、 その蛍の数も、 年々多くな…

■ 宗教・その2

今朝、 私のダイアリーを見てくださっている方から、 「宗教を研究していたのは何故?」という メールを頂戴する。 私が小学生であった頃、 私の家の左隣に、 「トヨちゃん」という女の子が住んでいた。 トヨちゃんは私より一歳年長だった。 トヨちゃんとは…